2013.01.26
第3回レポート
実務研修

アメリカで研修中の河崎から第3回目のレポートが発信されました。

New Year

 年が明けました。気が付けば、私のアメリカ研修も半分が終わってしまいました。  さて、先日、米国弁護士の招待で、家族そろって、オバマ大統領の就任記念パレードの見学に行ってきました。 DC市内は、見学者と、警察と、軍人で溢れかえっていました。おそらく、私の人生で最も多くの警察官を見た日ではなかったかと思います。 各ビルの屋上にも、軍人らしき人が配置されていました。

 私たち家族は、ビルのバルコニーからパレードを見学しました。 残念ながら、私たちの見える範囲ではオバマ大統領は車から外に出てきませんでしたので、 オバマ大統領が乗っていると思われる黒塗りの車(写真)を見るに留まりました。 それでも、アメリカらしい盛大なパレードを見学することができ、大変満足な一日でした。

研修レポート

特許の修正について
特許の発行後に、特許の内容に不備があることに気が付いた場合に、特許を修正することが必要になります。 米国特許法では、特許の修正に関して、以下の制度が設けられています。

1.certificate of correction(訂正証明書)の請求  certificate of correctionは、誤記等、明白なエラーの修正にのみ使用することができます。

2. reissue (再発行)  reissueは、誤記、優先権主張のミス、発明者の修正、特許性にかかわる情報の提出、クレームの修正等、広範なエラーの修正を行うことが可能です。  reissueの出願を行うと、審査が行われます。修正後の特許に問題がなければ、修正された内容の特許がreissue(再発行)されます。

3. ex parte reexamination (当事者系再審査)  ex parte reexaminationは、特許の発効後に特許性にかかわる文献を発見した場合に、当該文献を考慮した再審査を受けることができます。  文献の提出と共にex parte reexaminationを請求すると、まず、提出された文献によって実質的に新しい問題が生じるか否かが判断されます。 実質的に新しい問題が生じない場合には、当該文献により特許が行使不可能になる可能性は極めて低くなります。 実質的に新しい問題が生じる場合には、特許が有効か否かについての再審査が行われます。 特許が有効と判断された場合には、提出された文献が審査官に考慮された上で特許が維持されたことになり、 当該文献により特許が行使不可能になる可能性は極めて低くなります。

4. supplemental examination (補充審査)  supplemental examinationは、特許性に係る情報を発見した場合に、当該情報を考慮した補充審査を受けることができます。  情報の提出と共にsupplemental examinationを請求すると、提出された情報によって実質的に新しい問題が生じるか否かが判断されます。 実質的に新しい問題が生じない場合には、当該情報により特許が行使不可能と認定されることはなくなります(35 USC 257 (c)(1))。 実質的に新しい問題が生じる場合には、ex parte examinationとほぼ同様の再審査が行われます。

5. 特許の発行後に特許性にかかわる文献を発見した場合には、reissue、ex parte reexamination、または、supplemental examinationを利用することができます。 そこで、これらの各制度について比較してみたいと思います。

5-1.提出可能な情報  ex parte reexaminationでは、新規性、自明性に関する文献(刊行物)のみを提出可能です。 reissue及びsupplemental examinationでは、提出可能な情報に制限はありません。

5-2. 審査主体  reissueでは、多くの場合、元の特許を発行した審査官がreissueの審査を行います。 ex parte reexaminationでは、CRU(Central Reexamination Unit:ベテランの審査官の集まり)に所属する審査官と、 その審査官のマネジャーと、当該マネジャーにより選ばれた審査官の3人が再審査に関わります。 これら3人の審査官は、元の審査で特許を発行した審査官とは異なります。 supplemental examinationでも、ex parte reexaminationと同様の運用がされるものと思われます。この点では、reissueが、もっとも有利と考えられます。

5-3. 審査(再審査)中の手続  reissue、ex parte reexamination、supplemental reexaminationの何れにおいても、審査(再審査)中に、補正や応答書の提出が可能です。また、reissueでは、審査中に、RCE、継続出願、reissue出願の放棄をすることができます。これに対し、ex parte reexaminationでは、RCE、継続出願をすることができません。また、ex parte reexaminationにおいて、一旦、再審査が開始されると、請求人は再審査を停止させることはできません。supplemental examinationも、ex parte reexaminationと同様です。したがって、reissueの方がより柔軟な対応が可能です。

5-4. 費用  特許庁費用は、reissue<ex parte reexamination<supplemental reexaminationの順となります。また、代理人費用も、同様の順になると思われます。

5-5.効果  supplemental examinationの効果は、35 USC 257 (c)(1)に明記されています。ex parte reexamination及びreissueの効果は、法上明記されておりません。 但し、提出した情報が審査官により考慮されたとして記録が残るので、提出した情報に基づいて特許が行使不可能になることはほとんどないと考えられます。

5-6. まとめ  以上の通り、reissueが最も多くの利点を有しており、通常はreissueが適切であるように思います。 但し、法上明記された効果が望ましい場合には、supplemental examinationを選択すべきと思います。

以上